先端研究を加速させるイノベーション・コモンズ(パブリックスペース等) 整備基本計画の策定~【イノベーションを育てる場/イノベーションで育てる場】づくり~

イノベーション・コモンズとは・・・
 

 イノベーション・コモンズとは、ソフト・ハードの取り組みが一体となり、オープンでフレキシブルな教育研究施設だけでなく、個人で集中できる空間や、食堂や寮、屋外空間も含め、キャンパス全体が有機的に連携して多様なステークホルダーとともに共創活動を実現する拠点を指します。

 「イノベーション・コモンズ」の実現のためには、大学等のビジョンにおける「共創」のコンセプトの明確化やキャンパスマスタープラン等の再構築、それらを踏まえたリノベーション等の施設整備を行うこと等が重要であり、大学等の特色・強みを生かしていくことが重要とされています。

 

背景
 

 Society5.0の実現に向け、国立大学等において、地域における課題解決や新たなイノベーション創出等の視点から、多様なステークホルダーと連携して社会的意義のある新たな価値を創造し、社会的変化をもたらす「イノベーション・コモンズ(共創拠点)」の実現が不可欠とされています。

 これまでもキャンパスに関する社会的要請として、防災機能の強化、地球環境問題への対応、施設運営の効率化への対応が求められ、大学の役割を支える(教育研究活動を支える、全人的な人格形成を促す、社会に開く)、キャンパスを特徴付ける(個性・特色を表す、交流を育む、時代を紡ぐ)ことがキャンパスに求められる基本的機能・役割として示されてきました。これらの要請に加えて、社会的意義のある新たな価値を創造し、社会的変化をもたらす視点を強化することが求められています。

 

検討体制等

 本学における先端研究を加速させるイノベーション・コモンズ(パブリックスペース等)整備基本計画の策定に当たり、右図のとおり、運営組織の一つであるサステイナビリティ推進機構サステイナブルキャンパスマネジメント本部専門委員会のワーキンググループと位置づけているキャンパスマスタープランの策定・実現ワーキンググループ内に北キャンパス整備計画検討プロジェクトチームを設置しました。

 本プロジェクトチームと、ワークショップ等を通じたステークホルダーとの連携体制構築支援及びランドスケープデザインに関する多くの実績を有する外部コンサルタントとの協働によりイノベーション・コモンズ整備基本計画の策定に向けた検討を進めました。

 また、策定フローとしては、下図のとおりです。

 なお、本事業は、文部科学省の令和4年度「国立大学等におけるイノベーション・コモンズ(共創拠点)の先導的事例の創出支援事業」の支援を受け、実施しました

 
 
 
 
 
先端研究を加速させるイノベーション・コモンズ整備基本計画と     今後の取り組み

 

🔳整備コンセプト/コンセプト実現のための視点/整備の方向性

  • 現況把握(敷地分析)、ワークショップ、キャンパス近隣のステークホルダーへのヒアリング、参考事例調査における現地視察及び北キャンパス整備計画検討PT会議の内容を総括し、【イノベーションを育てる場/イノベーションで育てる場】としていくための計画の与条件として、5つの【整備コンセプト】、4つの【コンセプトを実現するための視点】に整理しました。
  • コンセプトを実現するための4つの視点は、既在の教育研究施設に3面を囲まれた敷地に屋外パブリックスペースを整備し活用し続けるという大前提と各種調査等の結果の総括に基づき、活動の誘発を支える【屋外パブリックスペースの基盤】と【屋内外をシームレスに使うために改修された既存建物】という基盤の上に、活動を誘発させつつ将来的な展開を見据えた【屋外パブリックスペースの設え】を配置し、【持続的な活用と維持管理運営】を展開しながら基盤や設えのアップデートを重ねる、という一連の流れ・サイクルから導き出したものです。
  • コンセプトの実現のためには、一度に基盤(ハード)を作り上げるのではなく、共創による活動(ソフト)の展開と関連性を持たせ、可変性を受容しながら、段階的・継続的に進めていくことが必要です。

 

 

🔳整備基本計画

 整備コンセプト・コンセプト実現のための視点・整備の方向性を受けて、ゾーニング・動線計画を検討の上、基本計画を策定、整備計画図・整備イメージを作成しました。

🔳ステークホルダーの拡大・多様化に向けた今後の展望

  • 供用初期段階では、本学構成員の他、先端研究を牽引する研究・産学連携組織が集積する札幌北キャンパスの特性をふまえ、地区を利用する教職員、学生、研究者及び北大R&BP関係者の他、スタートアップ企業、インキュベーション施設利用者、共同研究を実施している民間企業等の研究開発を担う主体を主たる利用主体と想定。
  • 本学構内への出入りは自由であるため、市民・住民・観光客など不特定多数の利用を排除することは不可能である一方、札幌北キャンパス関係者の受け止め方は“不特定多数の人を積極的に呼び込む必要はない”との認識が主。市民・住民・観光客といった研究との直接的な関係の浅い主体の利用は今後の検討課題。小規模でも実現可能な空間の活用を段階的に“やって、見せる”ことと併せて、学内外のステークホルダーとの議論を継続し、この場に相応しいステークホルダーとの関係性を模索。
  • 大学キャンパスに対する社会の要請や本学の社会連携に関する基本方針、教育研究環境の保持やセキュリティの観点などから、札幌キャンパス全体におけるキャンパスの開き方のあるべき姿や構内の各パブリックスペースの立地特性に応じた機能・役割・効果を再認識し、位置づけの見直し・明確化を進め、キャンパス全体がイノベーション・コモンズとして活性化する手立てを検討。

報告書等  ▽下記クリック